禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~




『………愛してる…アミリア……』


『リーザス……私も、貴方に永久の愛を誓うわ』



光と闇の色を持つ男女が、夜の中で愛を囁き合う。

涙に濡れながら。





アンは夢を見ていた。

地下牢の粗末なベッドでボロボロの身体を横たえながら、浅い眠りの中で。



夢に出てくるアミリアと呼ばれる女性が誰だか、アンには分かっていた。


アミリア=シュ=ソル=デュークワーズ。


太陽の光を集めたような黄金色の髪を持つ美しき女(ひと)。

古代デュークワーズ王国の若き女王であり、光の精霊をその身に宿した初代“聖女”であった。


光と闇を内に取り込み、時空の狭間に意識を飛ばされた時、アンは歴代の聖女たちの魂を垣間見た。

その中に於いて一際悲しい色をしていた彼女の物語を、アンは覚えていた。



< 258 / 271 >

この作品をシェア

pagetop