禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
『………愛してる…アミリア……』
『リーザス……私も、貴方に永久の愛を誓うわ』
光と闇の色を持つ男女が、夜の中で愛を囁き合う。
涙に濡れながら。
アンは夢を見ていた。
地下牢の粗末なベッドでボロボロの身体を横たえながら、浅い眠りの中で。
夢に出てくるアミリアと呼ばれる女性が誰だか、アンには分かっていた。
アミリア=シュ=ソル=デュークワーズ。
太陽の光を集めたような黄金色の髪を持つ美しき女(ひと)。
古代デュークワーズ王国の若き女王であり、光の精霊をその身に宿した初代“聖女”であった。
光と闇を内に取り込み、時空の狭間に意識を飛ばされた時、アンは歴代の聖女たちの魂を垣間見た。
その中に於いて一際悲しい色をしていた彼女の物語を、アンは覚えていた。