禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
―――アミリアには想い人がいた。
リーザスと云う名の青年で、彼女の乳兄妹であり腹心の部下でもあった。
彼は国で最高位の騎士の称号と、それに相応しい腕を持ち、いずれアミリアと婚儀を結ぶと国の誰しもが思っていた。
長年側に居続け、アミリアもリーザスを愛し、リーザスもアミリアを深く愛していた。
しかし。
混沌の王の出現。その強大な人類の敵の出現により、ふたりの愛は引き裂かれる。
激しい戦いの末、混沌の王の封印に成功したアミリアであったが、その純潔は光の精霊に捧げられ、彼女は生涯男性と結ばれる事は許されなくなってしまった。
子を成せなくなってしまったアミリアの代わりに彼女の妹が王位に即位し、アミリアは聖女として城の塔で魔方陣を守り暮らす事となる。
そして、対戦中もアミリアの片腕として彼女を守り続けたリーザスは、城の重鎮と新しい女王陛下の命令によって遠い地の警護へと飛ばされた。
アミリアとリーザスが愛ゆえに、光の盟約を破り、契りを結んでしまう事を恐れたのだ。
片時も側を離れた事の無いリーザスがいなくなり、アミリアは悲しみに暮れる日々を過ごした。
しかし、ある月の無い夜。
人目を忍ぶ暗闇に紛れ、リーザスは城の塔へと忍び込みアミリアに会いに来た。