禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「貴方の妹はとても可愛らしいのね」
王家の証である涙形の紫水晶を付けたサークレットを額に飾り、左右に分けられた長い絹の如き髪を手でサラサラと無意識に撫でながら、気高き女は言った。
薄暗くなった部屋で、豪奢な燭台の灯と月明かりに縁取られた横顔はまるで女神の彫刻だ。
整い過ぎるほど均整のとれた目鼻立ちは、真っ白な肌と相まって人らしさにさえ欠ける気がする。
輝かしい金に白銀を混ぜこんだ髪はプラチナ色にたなびいていて、彼女の全てを、美しく、眩く、儚く、魅せていた。
けれど、その美貌を目の当たりにしながらも、男は眉ひとつ動かすことなく淡々と言葉を返した。