禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「あのような弁えも知らぬ者に、勿体無いお言葉です」
「あら、貴方の妹はとても礼儀正しくてよ。謁見の堂々とした立ち振舞いは貴方によく似ていたわ。さすが名門のガーディナー家ね」
「…恐縮です、陛下」
銀の髪を揺らし頭を下げたリヲを、真鍮とビロードで飾られた玉座に座しているヴィレーネは横目で見やり微笑んだ。
「はつらつとしていて魅力的な女性だわ。…彼女が貴方の妹で良かったと思う。そうでなければ私、彼女に嫉妬していたかも知れない」
そう言ったヴィレーネの額飾りが、彼女の心を映すように微かに揺れた。
けれど、隣に立つ男は前を見据えたまま
「…陛下はお美しい。そのような感情、貴殿には必要無きように思えますが」
主君の脇で控えの姿勢を崩す事無くそう答えた。