禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
デュークワーズの連なる山々の峰から月が覗く。
細く美しい爪形の月。
その自分にも似た儚い明かりを飾り窓から見上げながらヴィレーネが独り言のように呟く。
「…リヲ…
月が欠けて無くなるように、いつか私のこの身が消えて亡くなる日まで…貴方は私の側に居てくれるかしら」
弱々しい言の葉に、リヲは目を伏せながらも身動ぎせず脇に控えたまま口を開いた。
「この命尽きるまで陛下の側で御守りする事が、忠誠を生涯誓った私のさだめです」
あくまで騎士で在る男の言葉に、若き女王は月を見上げながらそっと溜め息を溢すのであった。