禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~


「きゃっ!?」

何事かと驚き振り向くと、そこに立っていたのは

「兄さん!?」

自らのマントを乱暴にアンに被せたリヲだった。

リヲの相変わらずの不機嫌そうな様子に、その場に居たものが皆顔を引きつらせる。

だがリヲは怒るでもなく、ただ眉間に皺を寄せたまま

「…体を冷やすな。着ておけ」

それだけ言うと直ぐに踵を返してその場を立ち去った。

残されたアンはしばらくポカンとしていたが、素直にリヲの残したマントで身を覆った。

「…暑いのに…」

と小声で文句を言いながらも。



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