禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
女性用の訓練着が用意されていないこの騎士団に於いて、今日彼女が身につけていたのは、華奢な体には大きすぎる男物の訓練着だった。
胸元は広く開き、ベルトと胸当てで締め付けた体は彼女のよく発育した胸を強調した。
やや気にならない訳でも無かったが、感心は直ぐに彼女の剣の腕に移ったのでミシュラはそこまで気にしないでいたが。
どうやら、この男は違っていたようだ。
「…あれでも女だ。男共の気が逸れて風紀が乱れるとやっかいだ」
ぶっきらぼうにそう言ったリヲに、ミシュラは可笑しくて口角が上がるのを押さえられなかった。
「心配なのは可愛い妹ぎみの方だろ?男共のいやらしい視線にアンの肌が曝されるのが嫌だと素直に言えばいいのに」
たまらずクスクスと笑いを溢したミシュラを、リヲはギロリと睨み付け
「下衆な事を言うな!俺は団長として団の士気が下がるのが許せんだけだ!」
そう言い捨てると、力任せにドアを閉めて部屋から出ていった。