禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
山々の連なる峰。その麓の小さな村。
ガーディナー王国の南西にあるティザと呼ばれる村に、ある日黒煙が上がった。
黒い鎧の軍団―――ギルブルクの精鋭騎士団、通称“黒龍団”がついに進攻してして来たのである。
逃げまとう人々。燃える家屋。あがる絶叫と悲鳴。のどかで小さな村は一瞬にして阿鼻叫喚のおぞましい姿になった。
戦場と化した村を黒色の兵達が村人の屍を乗り越え悠々と進む。
そしてその中央では、一際大きな黒馬に乗った男が兜の隙間から鉛色の険しい瞳で辺りを見据えていた。