禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
振り返った視線の先には、さっき消した少年が潜んでいた場所に震える小さな人影が。
「…もう一匹いたか」
ゆっくりと小屋の床を軋ませながら近付いたヨークの目に映ったのは、恐怖に顔を引きつらせ震える幼い少女だった。
ヨークは冷徹な顔に微かに口の端を持ち上げると
「安心しなお嬢ちゃん。大サービスだ、兄貴と同じ方法で一瞬で消し去ってやるよ」
そう優しく話し掛け、左手を少女に向けた。
「…あ…悪魔…!」
最後にそう溢した少女の瞳に映ったのは、風の無い小屋の中で黒髪を鳥の羽のように翻した男の姿だった。