禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~




「アン殿、一緒に食事など如何です?城下町に上手い煮込みと麦酒を出してくれる店があるんですよ」

「ごめんなさい、私、麦酒は苦手なの」

「馬鹿だな、若い女人にそんなものが受ける訳ないだろ。ねえ、アン殿。
そんな物より甘い焼き菓子があるのですが、俺の部屋でお茶など如何です?」

「ごめんなさい、今日はいいわ。誘ってくれてありがとう」


アンが第一騎士団で訓練を開始してから三ヶ月。

訓練日が休みになる度、彼女の部屋には男達が押し寄せる風景が日常になった。

食事に誘う者、部屋に誘う者、何でも買ってやると買い物に誘う者、花束を贈りに来る者、果ては彼女のために作ったと云う歌を唄いに来た者までいた。

明るく溌剌としたアンはその容姿と相まってすっかり第一騎士団の男共の憧れとなっていたのだ。


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