禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「わあ…いい匂い。それに甘いわ」
驚いて長い睫毛をパチパチと動かすアンに、ミシュラは満足そうな笑みを浮かべて
「我がポートアール家特製のローズティーさ。淹れたても美味いけど冷めても香りを失わないのが自慢なんだ」
そう説明しながら今度は袋から包みを出した。
「沢山動いて小腹が減ったろう?木の実が入ったクッキーはどうだい?」
胡桃やヤマモモを練り込んだクッキーを差し出されて、アンはゴクリと生唾を飲み込み一枚を手に取った。
「美味しい!私ヤマモモが大好きなの!」
美味しそうにそれを頬張ったアンを見て、ミシュラの顔には益々満足気な笑みが浮かぶ。
「ふふ、僕の作戦勝ちってとこかな」
楽しそうに呟かれた一言に、アンが大きな目をクリクリと丸くした。