禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~


「団員たちの間では有名だよ。聖乙女殿は身持ちが堅くて誰のお茶の誘いも受けてくれないって」

「えっ、私、別にそんなつもりじゃ」

「まったく機転の利かない奴らだよね。こうして剣の訓練にかこつければ、アンはこんなに楽しそうに一緒にお茶を飲んでくれるのに」

ミシュラの言葉にアンはポカンとして自分の手元を見つめた。

「薔薇の咲く中庭で美味しいお茶と御菓子、それにおしゃべり。これって立派なデートだよね」

ニコニコと笑って自分も一枚クッキーを口に放り込んだミシュラに、アンはみるみる顔を赤くさせて立ち上がって叫んだ。

「ひどい!騙したのね!副長が剣の稽古だって言うから私ついてきたのに!」

「騙してないよ、稽古もちゃんとしただろう?今はほんの休憩時間さ」

「だって!さっきデートって…!」

「どう思うかは君次第さ。僕がデートと思ってもアンがただの休憩と思えばこれは休憩だよ」

あまりにもミシュラが飄々と言うので、アンは呆れてため息を吐きながらベンチに座り直した。


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