禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
それにしても。
デートと判明した途端のアンの強烈な否定っぷり。なぜそこまで。
ミシュラは、眉間に皺を寄せたままモグモグとクッキーを咀嚼しているアンを横目で見つめた。
「…どうやらアンは是が非でも殿方とデートしたくない理由がありそうだね」
「別に、そういう訳じゃ…」
「じゃあ僕の事がキライなのかい?」
「違うわ、ミシュラ副長の事は尊敬してるもの」
「じゃあこれがデートでも問題無いと思うけど」
「……」
ジリジリと追い詰められる質問に、アンはついに蜂蜜色の髪をサラリと垂れさせ項垂れてしまった。
ありゃ、ちょっと意地悪だったかな。
ミシュラが俯いたアンの横顔を見ながらそう思ったとき
「……兄さんに…軽薄な女だって、思われたくないんだもの……」
ボソボソと言い難そうにアンが答えた。