禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「リヲに?」
驚いて思わず覗き込んだアンの顔は、金の滝から見える頬が赤く染まっている。
ミシュラは琥珀色の瞳を丸くした。
「…騎士の訓練に来ているのに男の人とデートだなんて……兄さんにふしだらだと思われる…」
小鳥の囀ずりにも負けそうな小さな声でアンが吐き出した台詞に、ミシュラは堪えきれずついに吹き出した。
「ふっ、ははっ!ふはははっ!アンは随分とウブなんだね!」
「ひどい!!どうして笑うの!?私、真剣なのよ!」
「ご、ゴメン、ゴメン!けどさ。18にもなる年頃の娘が、男とお茶を飲んだだけでふしだらだなんて…ふっ、ふはははっ!いくら何でも考えすぎだよ!それに、リヲだって妹の色事にまで文句をつけないだろうさ」
「…そうかしら…」
「そうだね。僕だったら逆に、もし妹が18にもなってデートのひとつもしないようだったらそれこそ心配するよ」
ミシュラの言葉にアンは拗ねたように唇を尖らせながら首を傾げた。