禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
そして、前任の解任と共に新しい聖乙女が選出される。
その座を賜る叙任式も独特で、普通の騎士の様に主から剣を首に受けるのではなく、三日三晩聖水と月光浴で清めた身にデュークワーズ王家の血を引くものが剣の切っ先を向け六芒星の印を結ぶのが習わしとなっていた。
その儀式を経て、娘は由緒ある聖旗守護騎士団長となれるのだ。
しかし。騎士団とは言えど実際に聖乙女が剣を振るうことは無かった。
そもそもデュークワーズに残された歴書を見る限り他国との戦の無い安穏とした国だったのだ。
ただ旗を護る為に在る騎士団に、他の騎士団の様に小さな反乱を治めたり城や領地の警備に駆り出される事はない。
つまりは実質『御飾りの騎士団』なのだ。