禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「第23代目聖乙女は、アン=ガーディナーを任命します」
22代目の解任と共にヴィレーネ女王から発表された名は、今までの剣も持った事の無いような貴族の娘達とは違っていた。
名門、ガーディナー家の長女。兄は最高位である第一騎士団長であり、父もまたかつては王家直属の騎士団長であったのだ。
そして彼女自身も幼い頃から剣の指南を受け、女の身でありながら将来はどこぞの騎士団に所属するであろうと噂される生粋の剣士一族の娘であった。
新しい聖乙女はただの『御飾り』じゃない。
アン=ガーディナーの名が発表された時、多くの者がそう思った。
それは、今やこの国に御飾りの騎士団長など不要である事。つまり、ギルブルクとの戦に備え護るべき王国の聖旗に本格的な戦力を据えると云う事だった。
聖乙女が剣を持ち戦いに備える事も前代未聞ならば、第一騎士団で訓練を詰むなど尚の事。
それも“亡国の守護騎士”の妹となれば。
国民の新しい聖乙女への注目は嫌でも高まった。