禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~




―――騎士よ、誇りを持て

そなたの刃が守るは

国が紡ぎし歴史

人が紡ぎし命

神が紡ぎし物語なのだから―――



大理石で出来た厳粛な空間に、女王ヴィレーネの丈き声が響き渡る。

聖乙女の叙任式は聖旗の祀られている聖堂で行われた。

デュークワーズの正当なる後継者を意味するサークレット、マント、紋章入りの剣を身に付けたヴィレーネの前に、絹の薄衣を纏い純潔の証しである白翡翠を額に飾ったアンが膝まづいている。

儀式のしきたりに従い聖堂には二人以外誰もいない。扉の外で第一騎士団が警護に当たっているだけだ。

ヴィレーネは剣の切っ先をアンに向け、王国に伝わる古語を唱えながら六芒星の印を切る。



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