禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
叙任式が終わると、今度は新しい聖旗守護騎士団長のお披露目が行われた。
大臣を始めとした諸侯、そして既存の騎士団たちへの挨拶となる。
城内でそれらの式典が済むと今度は国民への顔見せの為に城下町を馬で巡る。情勢が情勢なので華々しくは出来ないが細やかなパレードといったところだ。
白馬に跨がり伝統の純白の鎧を身に付けた若き聖乙女は、美しく凛々しく国民達を魅了した。
「今度の聖乙女さまは綺麗だなあ!」
「おまけにガーディナー家の娘だって言うんだからお強いんでしょう?素敵ねえ、憧れちゃうわ」
「すごーい!聖乙女さまの髪の毛は金ぴかだー!」
賞賛と感嘆の声に、アンはにこやかに手を振った。
戦争で鬱蒼とした雰囲気の漂っていたデュークワーズに、久々に明るい時間が訪れた一日だった。