禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~







デュークワーズの王都は重々しい雰囲気に包まれていた。

国民はこぞって城下町から逃げ出し、兵が民を誘導しつつ城を中心に何層もの兵団の壁を作り上げる。

攻めこまれる事が分かっていればデュークワーズとて簡単に侵略を許しはしない。街を隔てる河川に、山壁の砦に、城を護る堀に、敵の進入に備えた武力をありったけ集結させた。

今までと違い、辺境の村への侵略じゃあない。いよいよ王都が、城が、攻めこまれるのだ。躊躇はいらない。国の持てる力を持って迎え撃つ以外に無い。

デュークワーズは、その存在を歴史から消されるか否かの岐路に立たされていた。



< 88 / 271 >

この作品をシェア

pagetop