禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~



「またまたぁ。そんなコト言っちゃって。隊中、いや、城中の噂だよ。騎士団長さまの妹はとんでもなくお転婆で、とんでもなく愛らしいってね。

そんな可愛い妹が明日からここへ見習い騎士としてやって来るんだ。団長殿が心配するのも当然ってもんだろう?」


男は人懐っこい顔をクシャリと綻ばせ、リヲの方を見やった。


「何度も言わせるな、ミシュラ。俺は苛ついてるんだ」


リヲはドスンと音をたててテーブルを挟んだミシュラの向かいに座ると、もう一度不機嫌そうに髪をかきあげた。


それを見てミシュラはからかうように同じしぐさで自分の癖っ毛をかきあげると

「いつも冷静な君が珍しいね。何がそんなに嫌なんだい?」

と興味深そうに丸い目を開いて聞いた。






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