禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
戦いは、総力戦になった。
王都の南門を境に何千と云う兵が馬が剣がぶつかりあう。
迎撃隊が構える砦門への集中突破。さすがのギルブルクも圧倒的不利な状況になかなか進攻は進まなかった。
「ギルブルクの野郎、舐めやがって。いくらうちが弱小と言われてたって、こんなふざけた進攻で落ちるかってんだ。ねえ副長」
第一部隊千人長の男が、優勢な自軍の攻防を砦の屋上から見下ろしながら言った。
それを聞きながらミシュラが腕を組んで考える。
…いくらこちらが有利な状況とは言え、ギルブルクの戦いはこんなものだったか?そもそもどうしてこんな不利で雑な戦略をたててきた?まるで本気で攻め込む気はないような…
「……黒い鎧はいるか?」
何かに気付いたミシュラがハッと顔を上げた。
「黒い鎧、ですか?いや、見えませんけど」
ミシュラの言葉に千人長が不思議そうな顔をする。
「…やられた!!黒龍軍団だ!一個隊で手薄になった北側に奇襲を掛けるつもりだ!!
第一部隊!僕と一緒に北へ…いや、もう遅い!城へ行くぞ!!」