禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
ミシュラの読みは当たった。
手薄になったとは言え何百と云う兵が護る山際の門を、ギルブルクの黒龍軍団はその十分の一の兵で易々と突破していた。
「王都を護る騎士団がこの程度とは、堕ちたもんだねえ“人類の守護国家”も」
漆黒の鎧を身に付けた男が、剣に着いた血を払いながら屍を踏み越える。
黒龍軍団とその将軍ヨークは躊躇も遠慮も無くその歩みを進める。
彼らの目的の物が在る処、そしてデュークワーズの最後の希望が居る場所へ。