禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「来ました…!!黒龍軍団です!」
北部から伝令を受けた兵が、その黒い軍団を目視して城中に駆け伝えた。
当然それは王宮の間に居るリヲの耳にも入った。
「陛下!下がっていて下さい!」
ヴィレーネを背に庇いながらリヲが抜刀する。
王宮の間には腕のたつ近衛兵が二十人余りで護りを固めていたが、黒龍軍団の進攻にさすがに緊張が走る。
だが、張り摘めた空気はなかなか破られる事無く、代わりに耳を疑う報告が飛び込んできた。
「た、隊長!!黒龍軍団は…ヨーク将軍は王宮では無く聖旗の塔へと進んでいます!!」
「…なっ…!?」
兜の下のリヲの顔色が変わった。