禁恋~純潔の聖女と騎士団長の歪な愛~
「はっ、ハハハハ!!こりゃあ驚いたぜ!強いだけじゃなくとんだ上玉じゃねえか!」
ヨークは兜のアイスリットを上げ、舐めるようにアンを上から下まで見つめる。
「金塊…いや、まるで太陽じゃねえか。
気に入った。まさしく全てを手に入れる男に相応しい女だ」
品定めするように自分を見る視線に嫌悪を露にしたアンがにらみ返すと、ヨークは突然自分の兜を外し長い黒髪をはためかせた。
「俺は黒龍団将軍ヨーク=デストログ。お前、名は?」
男の理解出来ない行動に眼力を弛めないままアンは
「…23代目聖旗守護騎士団団長、アン=ガーディナー」
そう名乗りを上げた。
「黄金の生ける鍵アン=ガーディナー。黒龍将軍の名にかけてお前を手に入れるぜ」
ニタリと不敵に笑ってヨークは音もなく左手を前に突き出した。途端にその周囲の空気が淀む。
「なあに、殺しゃしねえ。大人しくなるように腕の一本ほど消し飛ばすだけだ」
「…!?」
突如ヨークの左手からうねりを上げた黒い炎に、アンの翡翠の瞳が驚きで見開かれる。
「あんたの美貌に免じてなるべく綺麗に焼いてやる。感謝しな」
ニッとヨークの口角が上がったと同時に黒い炎は生き物の様にゴウ!と音をたて燃え盛った。
その恐ろしい光景に聖堂にいた全ての者が息を飲み…
…次に起きた出来事に全ての者が目を剥いた。