スイートペットライフ
***

佐和子先輩に大倉さんのことを話して少し気が楽になったものの、もう一つ私を悩ませているものがあった。

「――美空。また三橋さんから電話あったわよ」

はぁ、またか。三橋興産の経理課長からの電話。今日はこれで三回目。そろそろ諦めてもらいたい。

「佐和子先輩すみません。面倒なこと頼んで」

佐和子先輩にお願いして、電話を私に取り次がないようにしてもらっている。

仕事がらみの大事な要件ならば佐和子先輩に話をするはずだ。

「どうしてこんなことになったの?」

佐和子先輩は伝票のチェックをしながら、私に話しかけてくる。

「それが……。経理課長の好きなアニメのキャラに私が似ているらしくて」

「はぁ?」

ばっと私に怪訝そうな顔を向ける佐和子先輩。

私にそんな顔されても困る。

「それで…… 彼氏いるのかって?」

「何て答えたの?」

「いませんって」

「おバカ!!!そういう時は嘘でもラブラブな彼氏がいるんですぅ~って答えるもんなのよ」

え?そうなの?それが正しいの?

「すみません」

何故か分からないが怒っている佐和子先輩に一応謝る。

「事情はわかったから、もう仕事しなさい」

そう言って佐和子先輩は伝票チェックの手を速めた。

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