スイートペットライフ
10. 飼い主の恋愛事情
まだまだ忙しさを引きずる七月の初旬。
私は今日も残業をして電車に揺られてマンションの最寄駅に到着した。
残業代稼いで早くあの家出ないと……。
大倉さんと暮らし始めて二ヶ月目に突入しようとしていた。
最近困ったことにこの生活に心地よさを感じ始めている。
ご飯は文句なくおいしいし(お弁当付き)、お掃除は昼間ヘルパーさんがやってくれているみたいだし。
何より母親以外の人との「ただいま」や「おかえり」のキャッチボールに心地よさを感じてしまっていた。
アブナイアブナイ。だんだんペットとしての地位を確立しつつある。まずいな。
そんな風に思いながら、マンションのエントランスでロックを解除しエレベーターまで歩く。
するといつもならニコニコして「おかえりなさい」と声をかけてくれるコンシェルジュのおじさんが気まずそうにこちらを見る。
「もう、お帰りになったんですか……」
「えぇ、いつもよりも遅いくらいなんですけど」
「良ければこちらで少しお話でもしませんか」
何だいきなり。今までこんな風に誘われたことなんてなかったのに。
「いえ、今日はもう遅いのでまた今度」
不審に思いながらもにっこりとほほ笑んで、エレベーターに乗り込んだ。
私は今日も残業をして電車に揺られてマンションの最寄駅に到着した。
残業代稼いで早くあの家出ないと……。
大倉さんと暮らし始めて二ヶ月目に突入しようとしていた。
最近困ったことにこの生活に心地よさを感じ始めている。
ご飯は文句なくおいしいし(お弁当付き)、お掃除は昼間ヘルパーさんがやってくれているみたいだし。
何より母親以外の人との「ただいま」や「おかえり」のキャッチボールに心地よさを感じてしまっていた。
アブナイアブナイ。だんだんペットとしての地位を確立しつつある。まずいな。
そんな風に思いながら、マンションのエントランスでロックを解除しエレベーターまで歩く。
するといつもならニコニコして「おかえりなさい」と声をかけてくれるコンシェルジュのおじさんが気まずそうにこちらを見る。
「もう、お帰りになったんですか……」
「えぇ、いつもよりも遅いくらいなんですけど」
「良ければこちらで少しお話でもしませんか」
何だいきなり。今までこんな風に誘われたことなんてなかったのに。
「いえ、今日はもう遅いのでまた今度」
不審に思いながらもにっこりとほほ笑んで、エレベーターに乗り込んだ。