スイートペットライフ
そう思いながら気になっていたことを聞いた。

「あの、さっきの人怒って帰っちゃたんですが、大丈夫なんですか?」

「ん?何が?」

「だって、あのその、途中だったんですよね。彼女さんですか?」

「いーや。彼女じゃないよ。お友達、お友達」

お友達……。な に し て 遊ぶの?

聞けない……。

ニコニコしながら答えられて、何故だかイラッとして頬に当てた脱脂綿をぐりぐりと動かした。

「いだだだ!もっと優しくして」

うっすらと目に涙を浮かべて私に懇願する大倉さん。

「もう、今度からは事前にちゃんと連絡ください。帰ってきませんから」

「それは困る。ミィが帰ってこないなんて僕をペットロスにさせるつもり」

大袈裟な……。

「第一、今日だって断ったんだ。ペットがいるからダメだって。なのに急に押し掛けて来てさ。服脱がされてさ。そうだ!僕は被害者だよ」

ポンっと手を叩きながら名案でも思いついたかのように言う。

大倉さんが続ける。

「僕って博愛主義者だから、愛も性欲も人一倍なのよ。基本的にくるものは拒まず、去るものは追わず」

そんなあなたが何故私にはこだわるのか分からない。

「じゃあ、女なら誰でもいいってことですか?」

何だか腹立たしくて喰ってかかった。

「そんなわけないじゃないか!」

大きな声で否定する大倉さん。
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