スイートペットライフ
諏訪君のお勧めの居酒屋さんは、カウンターと奥に座敷がある居酒屋だった。

奥の席に案内された私達は靴を脱いで席についた。

もたもたと靴を脱いでいた私と違って諏訪君が先に席についたんだけど、ちゃんと奥の席を私が座るように空けておいてくれて彼の気遣いに心がこそばゆくなった。

「とりあえずビールでいい？」

そう聞かれた私はコクコクと頷く。

振り返ってカウンターの中の人に手を挙げ注文の合図を諏訪君がした。
慣れたそぶりがこの店の利用頻度を物語っていた。

「この店、こんなだけど料理はマジで美味いから」

「こんな店で悪かったな」

そう言って、Tシャツに頭にバンダナを巻いた男の人が登場した。ギャルソンが付けるエプロンの下からはデニムが覗く。

「お前がわざわざ来たのかよ」

諏訪君が笑いながら割烹着姿の男の人の肩を叩く。

「いや、健が女連れて来たって聞いて来ないわけないだろ～」

からかうような言い方をして肩を諏訪君の肩にぶつけている。
ひとしきりじゃれあった後はやっと私にバンダナの彼が何者かなのか種明かしをしてくれた。

「この店、コイツのなんだ。俺の中学から大学までの同級生」

「いらっしゃいませ～」

紹介された彼は人懐っこい笑顔をこちらにむけた。
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