スイートペットライフ
お昼を食べ終わり、給湯室でマグカップを洗っていると諏訪君がお昼を食べ終わって戻ってきた。

「お疲れ様～今日は何食べて来たの？」
「蓬莱亭の天津飯」
「私まだ食べたことないんだ～おいしい？」
「じゃあ、来週はほとんど内勤だから、月曜にでも一緒に昼飯行こう」

給湯室の入り口をふさぐように立って話しかけてくる。

「でも、二人で出掛けてると所内の人が……」
「青木さぁ――もうそろそろそのコソコソするのやめにしない？」

私を覗き込むおそろしく澄んだ目に思わず頷きそうになる。

「別に、俺が一方的に好意を寄せてるってことを隠す必要なんてないんじゃないか？」

そう言い切る諏訪君。彼は女がどれだけ恐ろしいか分かっていない。

諏訪君のアシスタントになっただけでもかなりの反感をかったのに、それでいて諏訪君が私を好きだと噂が広まったら？
私の返事が“はい”だろうが“いいえ”だろうが彼女たちは気に入らないのだ。

そして先日の照井マミのようなあからさまな敵意のこもった視線をばしばし投げかけて、私を半殺しにしかねない。

「う…んでも」

私が答えようとしたその時に廊下から女子の集団が給湯室へ向かってくる声が聞こえた。

「この話は保留で」

そう言って諏訪君はフロアへと戻っていた。

そして彼と入れ替わりに到着した女子御一行様。照井マミと同じフロアの面々だ。わざわざここの給湯室使わなくてもいいのに。私がここでふてくされてもどうしようもないけれど。
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