スイートペットライフ
「青木さん、さっきの諏訪君じゃない?何を話していたの?」

話の内容までチェックが入るとは……。先輩から聞かれて答えない訳にもいかない。

「午後からの業務についてです」

そう答えて給湯室から出ようとする。が、それは阻まれてできなかった。

「青木さん、最近あなた随分雰囲気が変わったみたいだけど、付き合っている人でもできた?」

どうして、同じ職場というだけでそんなことまで詮索されないといけないの?

「いえ、そう言うわけじゃないんですけど」
「そうなの?同じフロアの子たちと話していたのよ~今度一緒にお茶でもしましょう」

にこやかに話しかけられるが、その場面を想像して寒気がした。
お茶の席とは名ばかりできっと、諏訪君の情報を根ほり葉ほり聞かれてそして、近付かないように釘を五寸釘で刺されるのだ。ここは否定も肯定もせずに切り抜けたい、切り抜けたいが……。

そのスキルが私にはなかった。

女子としての戦闘能力が限りなく低い。危険察知能力はしっかり備わっているのに、戦う力がないなんて、残念でならない。

「はい、機会があれば……」

お願いこれで納得して!そう心の中で祈っている。すると思いもよらぬ助け舟が入った。

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