スイートペットライフ
「まさか、ミィ。ブリーディングしたのか？ちゃんと答えなさい」
「あの、えーっと、ブリーディングって？」
「ブリーディング、交配だよ、こ・う・は・い」

頭の中はてなマークだけが浮かんでは消える。そんな私は眼中に入っていないのか大倉さんがわなわなと震えてひとりごちる。

「ミィが他のオスと交わるなんて……」

その言葉を聞いたときに私の中にやっと“交配”の漢字が浮かんだ。
それと同時に、顔が一瞬にして真っ赤になる。

「な、な、な、何言っているんですか？そんなわけないでしょ？」

そう言って、大倉さんの肩にげんこつを一つ落とす。

「じゃぁ、どうしてそんなにオスの匂いが“プンプン”するんだ！」
「だからオスじゃなくて同僚の諏訪先生です」
「諏訪先生とやらと飲んでいただけでそんなに匂いが付くはずない！」

まだ疑っているのか、断定されてむかっとする。

「交配なんかするわけないじゃないですか？」
「だったらどうしてそんなに匂いがついているんだ？」
「これはきっと抱きしめられたときに――」

しまった！


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