スイートペットライフ
16. ツイてない女
翌日目覚めた私はいつも通りの光景を目にしていた。
大倉さんがここまで運んでくれたんだ。
思わず部屋の扉を力いっぱいあけてキッチンをのぞく。
そこにはいつものギャルソンエプロンの大倉さんがキッチンに立っていた。
「おはよう、ミィ」
そうにっこり笑顔を向けられる。
「おはようございます。昨日運んでくれたんですね。ありがとうございます」
「あぁ、どうやっても起きないから、僕の部屋で一緒に寝ようと思ったんだけど、嫌われたらいやだからイイコに部屋に連れて行ってあげたよ」
ばれていない犯罪計画(?)をわざわざ話す必要ないのにな。大倉さんらしい言葉に思わず笑みがこぼれた。
「シャワー浴びないと遅刻するよ」
そうキッチンから話しかけられてあわてて部屋の時計を確認するとかなりのぎりぎりの時間だった。
「ぎゃーん。遅刻――!!」
***
電車に揺られて通勤しながら私は一つの決心をしていた。
――諏訪君のことはっきりさせよう。
吊革につかまっていないほうの手で握りこぶしを作り気合を入れる。
大倉さんとの関係がどうのこうのというわけじゃないけれど、不器用な私が隠し事をしながら恋愛関係を築いていけるはずない。そもそもそんな不誠実なことしたくもないし。
私には今の大倉さんとの生活が大切だ。この一週間で思い知らされた。
そうなれば……なるべく早く諏訪君にきちんと返事をしないといけない。
佐和子先輩には、ランチの時間に自分の気持ちを伝えた。
「本当にそれでいいの?」と聞かれたけれど、今の私に出せる答えにこれ以外の正解がなかった。
私の気持ちを理解してくれた佐和子先輩は「不器用な子」と一言呟いて「頑張りなさい」という勇気の出る言葉をくれた。
大倉さんがここまで運んでくれたんだ。
思わず部屋の扉を力いっぱいあけてキッチンをのぞく。
そこにはいつものギャルソンエプロンの大倉さんがキッチンに立っていた。
「おはよう、ミィ」
そうにっこり笑顔を向けられる。
「おはようございます。昨日運んでくれたんですね。ありがとうございます」
「あぁ、どうやっても起きないから、僕の部屋で一緒に寝ようと思ったんだけど、嫌われたらいやだからイイコに部屋に連れて行ってあげたよ」
ばれていない犯罪計画(?)をわざわざ話す必要ないのにな。大倉さんらしい言葉に思わず笑みがこぼれた。
「シャワー浴びないと遅刻するよ」
そうキッチンから話しかけられてあわてて部屋の時計を確認するとかなりのぎりぎりの時間だった。
「ぎゃーん。遅刻――!!」
***
電車に揺られて通勤しながら私は一つの決心をしていた。
――諏訪君のことはっきりさせよう。
吊革につかまっていないほうの手で握りこぶしを作り気合を入れる。
大倉さんとの関係がどうのこうのというわけじゃないけれど、不器用な私が隠し事をしながら恋愛関係を築いていけるはずない。そもそもそんな不誠実なことしたくもないし。
私には今の大倉さんとの生活が大切だ。この一週間で思い知らされた。
そうなれば……なるべく早く諏訪君にきちんと返事をしないといけない。
佐和子先輩には、ランチの時間に自分の気持ちを伝えた。
「本当にそれでいいの?」と聞かれたけれど、今の私に出せる答えにこれ以外の正解がなかった。
私の気持ちを理解してくれた佐和子先輩は「不器用な子」と一言呟いて「頑張りなさい」という勇気の出る言葉をくれた。