スイートペットライフ
しかしこういう日に限って事件が起こる。

ランチ後歯磨きを終えまだ休憩時間だったが、午前にやり残した仕事があったので私はは自分の席に着いた。休憩中電源をオフにしていたパソコンを立ち上げようとすると、まだ電源のついていないパソコンの画面に私に敵意丸出しの視線を向ける女の人が写っていた。

「照井さん!」

驚いて振り向く。

「青木さんちょっとこっちきて」

両腕を組んだまま顎でコピー室に誘導された。

あぁ、ダメだこんな時に限って佐和子先輩がまだ席に戻ってきていない。というか誰も助けてくれそうな人が周りにいない。ここは腹をくくってついて行くしかない。

後ろから見る照井マミの髪の毛がまるでメデューサに見えるのは私だけでしょうか?

いや、私の前だから本性まるだしのメデューサになれるのか……。

どうでもいいことを考えていると本日の戦場もしくは私の墓場に到着した。

「さっさと歩きなさいよ。ホントのろまね」

第一声から理由はともかく間違いなく怒っていることは分かった。

「あんたさぁ、一体どこまで私の邪魔すれば気がすむの?」

唐突に言われた言葉はまるで身に覚えがない。

「どういうこと?」

こう聞くしかない私は素直に聞いた。

「諏訪先生のことでも腹がたっていたのに、それに加えてエバースターの担当も諏訪先生とあなたになったんでしょ?」

「うん」

事実なので頷くが、それは先方と所長の意向が大きいから私のせいではない。

「それまでエバースターはうちの先生と私が担当していたのよ。それで担当外された先生は機嫌が悪いし、それにあなた過去の資料整理したの?」

そう言われて思い出した。書庫にエバースターの書類を探しに行った際、あまりにもでたらめな管理の仕方をしていたからきちんと整理しなおしたのだ。しかしこれは褒められるはずで怒られる類の話じゃないと思うんだけど。
< 182 / 249 >

この作品をシェア

pagetop