スイートペットライフ
＊＊＊

翌日私は韓国行きの飛行機の中だった。

夏休みをまだ消化していなかった私はここぞとばかりに申請して半ば無理矢理に休みをとった。

大倉さんには、カメリアホテルではなく友達のところに泊ると伝えてスマホの電源をオフにしていた。

昨日の夜は佐和子先輩の家に泊めてもらった。旦那さまが先日から長期出張中ということで気兼ねは要らないと言われて、着の身着のままで行った私を快く迎えてくれた。

自分の中で消化しきれず膨れ上がった色々な思いを吐き出さないとパンクしそうだった私は佐和子先輩に淡々と事実を伝えた。

あまりにも淡々と話す私を見て、痛々しそうな顔を佐和子先輩がときどきするのでそこに胸が痛んだ。

翌朝瞼が腫れてフランケンみたいになった私と、一緒に出勤して私が休暇の申請をしている間、佐和子先輩は引き継ぎの段取りをしていてくれていた。

「それでは急な話ですみませんがよろしくお願いします」

フロアに向かって挨拶をして、階段へと向かった。

階段へ差し掛かったところで諏訪君に声をかけられる。

「一体どうしたんだ？急に休暇なんて。それにその瞼の腫れ。泣いたの？」

そう言って私の酷い顔を覗き込む
そっと視線を外してなるべくこの顔を晒さないですむ角度で話した。

「ちょっと、色々あって休憩したいなと思って」

正直に話す。

「もしかしてまた照井か？」

「ちがうの……諏訪君のことじゃないから」

そう言って軽く手を振る。
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