スイートペットライフ
「昔っから妙に頑固なんだから。美空が気にしているのは、彼が結婚していたこと?それとももう彼との暮らしが終わってしまうこと?」

どっちだろう……。

「まぁ、そのどっちもかな?だけど彼に聞いたの?どうして別居しているのか、どうして美空と暮らし始めたのか。ちゃんと話してもらったの?」

首を左右に振る。

「彼から何も聞かないまま結論を出してもいいの?」

「結論もなにも」

結婚している男性と一緒には住めない。結局たどり着く答えは一つのような気がした。

「美空、彼の事好きなんでしょ?」

ママに聞かれて胸がドキンとした。今まで自分の中で目をそむけて誤魔化してきた言葉をストレートに胸にうちこまれた。

「好き、なのかな?よくわかんないや」

「でも、その人との生活が大事なのよね?」

「うん」

それは即答できた。

ママは一口シッケを飲み向かいにある壁を見つめながら話す。

「ママね、結婚はしなくてもいいな~って漠然とそう思っていたの。美空のパパのことも好きだったし愛していた。だけど彼と結婚しようとは思わなかったのよ。そのせいで美空が辛い思いをしてきたことも分かっているけど、ママは間違った道を歩いたとは一度も思ったことない。勝手なママでごめんね」

声は大きくないけれど強い意志が込められているママの言葉は胸に響いた。
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