スイートペットライフ
車に乗せられて連れてこられたのはエバースターの本社だった。正面玄関に車が止まると自動ドアの向こうから長身の男性が駆け付けるのが見えた。

「大倉さん!」

息を切らしながら、車から降りた私のところまで駆け寄ってくる。

「オミ君!訂正して」

今それどうでもよくない?そう思ったもののあまりに怖い顔で言われたので素直に言うことを聞く。

「オミ君。一体どうして私“確保”されたの?」

「分からないの!?置手紙一つで出て行って僕がどれだけ心配したか。捜索願い出そうとしたけど真田にとめられて仕方なく裏のルートで出国の確認したんだ」

裏のルート??

「そしたら韓国にだっていうからきっとお母さんのところだと思って。もうここにはもどって来ないのかもしれない。それならと迎えに行こうとしたらそれも真田に邪魔されて……」

「時臣様人聞きが悪いです。お仕事が終われば問題なく韓国に行けましたよ」

大倉さんは真田さんの話を全く聞いていない様子で私の無事を確かめるように身体を撫でまわした。

「それで、今日韓国を出国するって情報が入ったから絶対逃げられないようにSPに頼んでここにつれてきてもらったんだ」

連れてくるって言うよりは拉致に近かったけれど、一歩間違えれば誰かが警察に連絡するぐらいの拉致っぷりだったと思う。

「あんなことがあった後で、電話も通じないし。僕は毎日眠れずにいたんだよ」

いつになく真剣に怒った顔だ。よく見ると目の下には色濃くクマができている。

「心配かけてごめんなさい」

自然と謝罪の言葉がでた。

そんな二人を見ていた真田さんが「ここでは目立ちますので」といい中に入るように言ってくれた。
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