スイートペットライフ
「それで――やっぱり私大倉さんとは一緒に住めません」

「ど、どうして？今まで何も問題なくやってきてたじゃないか」

両肩を掴まれて揺すられる。

「私やっぱり他に奥さんがいる人とのうのうと暮らせるほどバカじゃないです」

「それは……」

「私はペットだからって大倉さんは言うかもしれないですが、世間では私は２４歳の女なんです。ママには頑固だって言われたけどやっぱり私は奥さんのいる人とは一緒に暮らせない」

大倉さんが私の肩に置いてあった手をだらりと垂らした。

「それがミィの答え？」

「はい」

強い声で返事をする。

「わかった。ただしミィは行き場がないでしょ？あのマンションにはミィが住んで」

「ど、どうして？」

「もともと君に住む場所を提供する契約だったでしょ。おまけで僕が一緒に住んでただけで」

「契約……」

そういえば私と大倉さんは契約で結ばれた関係だった。

原点に戻れば自分の立場を思い出すことができた。それが自分にとって辛い立場だとしても。

「早めに部屋を見つけて出て行きます。それまではお言葉に甘えてあの部屋をつかわせてもらいます」

現実をみてすぐに出て行きますとは答えなかった。

ちゃんと準備をして荷物とともに自分の気持ちも整理して――。

そう考えているとふわりと大倉さんの腕に包まれた。
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