スイートペットライフ
エレベーターを降りて、先ほど大倉さんに手を握られて歩いたエントランスを出口に向かって歩く。
受付の女性二人が私のほうを見て何かを話しているのが目に入ったがそのまま出口に向かう。
すると早足で歩いている私の腕を誰かが掴んだ。
――もしかして
そこに立っていたのは眉を下げた真田さんだった。
「すみません。ちょっとだけお時間ください」
そう言って掴んでいた腕を離してから私にどこか寂しそうな笑顔を向けた。
何を期待していたんだろう。自分で突き放したくせに……。都合のいい自分の考えが嫌になる。
「私が口をはさむ立場にないのは分かっています。でも本当の彼の姿をきちんと見てください」
「本当の彼?」
真田さんの言葉にひっかかる。
「はい。ミィ様の前では時臣様は素顔をおみせだったようですが、それでもまだミィ様にはご理解いただけていないように見受けられます」
「それって……でももう私は……」
「時臣様の真実は時臣様の中にしかないのです。もう一度あなたの目でしっかり見てください」
そう言ったあと真田さん「失礼します」とだけ言って小走りでエレベーターに向かっていた。
今さらそんなこと言われても私と彼はもう何の関係もないのに、これ以上どうしようもない。
そう思いながら自動ドアを抜けて駅へと向かった。
まだ一八時なのにもう薄暗い。いつの間にか夏が終わって秋になった。私と大倉さん二人の時間が終わるように。
受付の女性二人が私のほうを見て何かを話しているのが目に入ったがそのまま出口に向かう。
すると早足で歩いている私の腕を誰かが掴んだ。
――もしかして
そこに立っていたのは眉を下げた真田さんだった。
「すみません。ちょっとだけお時間ください」
そう言って掴んでいた腕を離してから私にどこか寂しそうな笑顔を向けた。
何を期待していたんだろう。自分で突き放したくせに……。都合のいい自分の考えが嫌になる。
「私が口をはさむ立場にないのは分かっています。でも本当の彼の姿をきちんと見てください」
「本当の彼?」
真田さんの言葉にひっかかる。
「はい。ミィ様の前では時臣様は素顔をおみせだったようですが、それでもまだミィ様にはご理解いただけていないように見受けられます」
「それって……でももう私は……」
「時臣様の真実は時臣様の中にしかないのです。もう一度あなたの目でしっかり見てください」
そう言ったあと真田さん「失礼します」とだけ言って小走りでエレベーターに向かっていた。
今さらそんなこと言われても私と彼はもう何の関係もないのに、これ以上どうしようもない。
そう思いながら自動ドアを抜けて駅へと向かった。
まだ一八時なのにもう薄暗い。いつの間にか夏が終わって秋になった。私と大倉さん二人の時間が終わるように。