スイートペットライフ
「私、諏訪君とは付き合えない。待ってもらっても変わらないと思う」

今までよりもはっきりと自分の思いを伝えた。

「前言ってた好きな人とうまくいきそうなの?」

私は首を左右に振って、否定する。

「その人とは、そういう関係じゃないから。それにこれから先もそう言う関係にはなれないの」

「だったら、俺――」

「ダメなの」

諏訪君の言葉を遮る。

「それでも、やっぱりダメなんだよ……私が一緒にいたいのはやっぱり彼だから」

諏訪君を見てそう答えると、視線を外して俯かれた。

「わかった。だけど俺だってお前がその人の事忘れられないようにすぐにはお前の事あきらめられないから、だから時間かけて元の同僚に戻るよう努力する」

「ありがとう」

今できる極上の笑顔を浮かべたつもりだ。

「あーあ、どうせ振られるならもっと強引にいっとくんだった」

そう言って、大きく伸びをしながら諏訪君がベンチを立った。

「できないくせに」と言うと「そだな」とフッと笑いながら返事があった。

二人でゆっくりと駅に向かう。こういうこともこれから先はなくなるんだろうな。

「なぁ、青木」

「ん?」

「また飲みに行こうな。それくらいは譲歩してくれ」

「そだね。それくらいはね」
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