スイートペットライフ
「だから結婚してお金を融通してもらったの。そして私は会社を継ぐために必死で勉強したわ。留学もした。大倉はそれを何も言わずに認めてくれた」

二コリと私を見て笑顔で話す。

「彼はきっと私を妻として大切にしたかったのでしょうね。真面目な人だから。だけど私はそれを拒否したのよ。そして自分のやりたいことだけ必死になってやってきた」

首を少し傾けて当時を思い返しているようだ。

「彼もそれに気が付いてからは、好きにさせていてくれた。私達二人、戸籍上は夫婦だけど完全に他人とはちょっと違うか……言うならば”あしながお兄さん”ってところかな」

視線を私にうつして、穏やかな笑みを浮かべる。

「それが先日こっちへ帰ると連絡したら、マンションへ来ないように言われたわ。まぁ女がいるんだろうなとは考えていたけれど今まで帰国時にそんなこと言われたことなかったから、一体どんな女なんだろうって興味がわいてね少し意地悪したわ。ごめんなさい」

少し?私は傷ついて韓国まで飛んだのに。

「実は私結婚したい人がいるの。あっちに住んでるんだけど仕事でも私生活でもいいパートナーでね。それで今回も私の我儘で離婚をお願いしにきたのよ」

「え?大倉さんはそれを知っているんですか?」

「もちろん話したわよ。おめでとうって」

脳内で色々考える。
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