スイートペットライフ
「一体何をやっているんだ!」

フロアに低くて大きな声が響いた。

振り向くとそこには険しい顔をした所長と諏訪君。その後には大倉さんと真田さんの姿も見えた。

「青木さん。電話の件ならこんなところで大騒ぎするべきことじゃないだろう」

普段は笑顔を絶やさない所長の顔が険しい。そこでやっと目が覚めて今やるべきことが何なのか悟る。

冷静にならなきゃ。

「申し訳ありませんでした。事情をお話します」

そう答えた私に「こっちへ」と所長室へ促された。肩を落としてついていく私に照井マミが嘲笑うかのような笑顔を見せた。

所長室へと向かう集団は重苦しい雰囲気に包まれていた。誰も一言も言葉を発することもない。私は今までにないくらい重い足取りで所長室へと向かっていた。

―――久しぶりに見る大倉さんの背中を見つめて。


所長室に入ると全員が席に着いてから話を始める。

「で、経緯の説明をしてくれ」

そう言われて私は、今朝からの経緯を説明した。

その間に諏訪君の目が驚愕で大きく開くのを横目で見ながら。

「諏訪君は何かあるかい?」

「今日は予定外に関与先に出るようになってしまい、資料を大倉建設まで届けることができなかったので確かに電話で青木さんに頼みました。照井さんに伝言するように頼んで」

「それで?」

所長が先を促す。

「でも、資料の訂正はありませんでした。昨日仕上げたもので完璧だったのでそれを持っていくようにと」

やっぱり。想像はしていたけれどやっぱり犯人は照井マミだ。久しぶりに怒りで手が震える。

「じゃあどうして急に資料が入れ替わったんだ?照井さんをここに呼びなさい」

照井マミが青ざめた顔で所長室に入ってきた。
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