スイートペットライフ
その間大倉さんは一言も話しをせずにただ黙って成行きを見ていた。

「照井さん、青木さんが君から受け取った資料を持って大倉建設へ向かったと言ってるけど?」

「わ、私資料なんて知りません。頼まれた伝言をしただけで……」

ここまで来ても言い訳するつもり?

「嘘よ!あなたが私に昨晩訂正が入ったと言った資料を渡したんじゃない!」

思わず声を荒げて反論してしまう。

それに照井マミが言い返してくる。

「一体何ですか?マミは伝言をうけたからそれを伝えただけです。資料を間違えたのは青木さんのせいでしょ?マミは訂正とかそんなの何も知りません」

完全にしらばっくれるつもりだ。

驚いて絶句しているところに所長の声が入る。

「青木さんが言うように照井さんが資料の改竄をしたというのなら、その理由は」

それは、諏訪君のことで揉めていたなんてここでは言えない。

所長やましてや大倉さんに知られたくない。

「そうです!マミにはそんなことしても何の得にもならないんですからっ!」

ここぞとばかりに自分に有利に事を運ぼうとする照井マミに唇をかむ。

どう言えば分かってもらえるだろうか?所長も大倉さんたちの手前追求の手を緩めない。少しの矛盾も許してはもらえないだろう。

「持っていく資料間違えたのか?」

諏訪君が気遣うように聞いてきた。そんなわけない、昨日まで必死で作った資料だ。でも実際会議に持ち込まれだのはでたらめな資料だ。

見ていた人がいないため私が間違えたと思われても仕方がない状況に手も足も出ず悔しくて涙が浮かびそうだったその時。
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