スイートペットライフ
「ちょっといいですか?この資料だけど、青木さんが作ったんじゃないよね?」

いきなり大倉さんが話始めた。

そしてその突拍子のない発言に私をふくめて室内のみんなの表情に“??”が浮かんでいる。

確かに私が作ったのでは断じてない。だけどどうしてそれが大倉さんに分かるの?

「大倉さん、私にもわかるように説明してもらえないだろうか?」

所長の疑問ももっともだ。私だってその理由が分からないんだから。

「答えは簡単。――だって、ここからはミィの匂いがほとんどしないからね」

にっこりとほほ笑んで大倉さんが答えた。

「はぁ……匂いですか?」

あの答えならこの反応で仕方ないだろう。私だって「はあ?」だ。

この場でニコニコしているのが大倉さん、まいったなって顔をしてるのが真田さん。

その他はまさに“きょとん”と言う表現しかできない顔をしてる。

「そう、この資料からはかすかなミィの匂いしかしない。前回作ってもらった資料からはもっと豊潤で芳しい匂いがしてたのに」

うっとりとした顔で語る大倉さんを真田さんが呆れた顔でみている。

「時臣様そのへんで……」

なだめられて「あ、そうなの?もっと説明したほうがよくない?」と言っているが所長たちにはちんぷんかんぷんだろう。

「何言ってるのこの人。資料に匂いがつくわけないじゃない!そんな言い訳通用しないわ」

照井マミはバカにしたように腕を組んでいる。

「あのー本当に青木の匂いがかぎ分けられるんですか?」

諏訪君が冗談だろ?という表情で大倉さんに聞いている。

「君はミィの事が好きなのに匂いも分からないの?」

理解ができないという表情の大倉さんをみて諏訪君も困惑している。
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