スイートペットライフ
ベッドの軋む音で目が覚める。

「あ、起こしちゃった?」

ベッドの淵に腰掛けたバスローブ姿の大倉さんがペットボトルのミネラルウォーターを飲みながらこちらを見る。

サイドテーブルの時計を確認するといつもの朝食の時間が迫っていた。

「……、あ、のわたし」

掠れた声に大倉さんがクスクス笑う。

「昨日はしっかり付き合ってくれてありがとう。やりすぎたみたいだね。ごめんね」

そう言って一口ミネラルウォーターを口に含んだ後、私に口付けて来た。口を開くようにと舌で合図されて、寝起きの私はその指示通りに口を薄く開いた。

そこから、人肌温度の水が流れ込んでくる。

「これで潤った?」

上から熱い視線で見つめられて耳に血液が集中したのがわかった。

「そんな可愛い顔して、もう一回っていうおねだり?ミィのエッチ」

「ち、違います。変なこと言わないでください」

私が胸を押すと、大袈裟に痛そうな表情を作った。

「しかしこれ以上見せつけられると、ご飯どころじゃなくなっちゃうんだけど」

そう言われて彼の指さすほうを見ると私のつつましやかな胸が丸見えになっていた!

「ぎゃー!」

驚いて必死でシーツをたくしあげる私をみて大倉さんは「あははは、早くシャワーを浴びておいで」と笑いながら部屋から出て行った。

シャワーを浴びた私は、キッチンからのいい匂いに誘われてそちらに向かう。

久しぶりのバターいっぱいの大倉さんのふんわりオムレツを目の前にして私の正直なお腹が「ぐー」っと鳴る。

「昨日はあんなことや、こんなこととっても頑張ったもんね。さぁ召し上がれ」

そう言われて席に着く。

私が目の前に出された大倉さんの料理を堪能しているのを大倉さんは頬杖をついてニコニコしながらこちらを見ていた。

「た、食べないんですか?」

「うん。ミィをみてるから、それで十分」

「……そうですか」

みられてると食べづらいんだけど、まぁいいか。

彼と一緒にダイニングのテーブルにつける喜びを私は優先させた。
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