スイートペットライフ
ホームレスと言う単語にドキリとする。

確かに1週間であの部屋は出て行かないといけない。それまでに住みかが見つけられなければホームレスだ。

ただでさえ時間がないのに加えて、お金もない。

先ほどまで泡のお風呂でDVDを見る妄想をしていたのに、今は段ボールのおうちで新聞紙にくるまっている自分が目に浮かぶ。

「ホームレス…」

ポツリとつぶやくとその単語が重く心にのしかかった。

「君にそんな生活させれられないよ。ここで出会ったのも何かの縁だ。困った時はお互い様。情けは人のためならず、それから…」

「あの、わかりました」

私の心は決まった。きっとこの大倉さんはかわいそうな私を見かねて神様が授けてくれた天使なんだ。

神様、今まで存在を疑ってごめんなさい。

今回ばかりはあなたのご加護に感謝して、甘んじてこの幸運をお受けします。

「私、このお部屋に住みます!」

ぐっと握りこぶしを作り、起立して宣言した。

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