スイートペットライフ
***

土曜の午前中、私はあのマンションを訪ねていた。

あの、THE執事コンシェルジュさんに案内されて、二四階の部屋前までたどり着いていた。

「ここが今日から私の家」

インターホンを鳴らす前にドアをしみじみと眺める。

はじめての一人暮らし。これからこの部屋と沢山の時間を過ごし歴史を重ねる…。

意を決してボタンを押した。

「どうぞ――」

中からは低いけれど柔らかい声――大倉さんの声で返事があった。

解錠の音がしたので、ドアノブに手をかけて扉を開けようとしたとき中から開かれて、おでこに扉が激突する

―――ドンッ!

「うぎゃ」

思わず言葉にならない声が出る。
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