スイートペットライフ

「あの、早速なんですが私の荷物はどこにありますか?」

引っ越し業者の手違いで、午前中に荷物が到着した。

それを大倉さんが代わりにうけとってくれていたのだ。不動産会社の人にここまでしてもらって申し訳ないな。

「ああ、こっちの部屋に運んでおいてもらったよ。ここが君の部屋になるから」

ん?なんか変?君の部屋になる?この部屋全部が私の部屋だけど…

まぁいいか、とりあえずあの部屋に押し込んでいて、おいおい荷ほどきをすればいい。

生活に必要なものはほとんどここにそろっているんだから。

指差された部屋を覗いて荷物を確認した。

そして振り返りリビングに戻ると、大倉さんが長い足を汲んでマグカップ片手に経済新聞を読んでいた。

なんか…ずいぶんくつろいでないかい?

いや、別にそんなに固いことは言わないよ。

仕事なんだから普通はスーツ着用でしょ?とか思ってるけど、恩人にそんな失礼なこと言わない。

だけど、なんか色々引っかかる。

自分の中のエマージェンシーコールがだんだん音を大きくする。
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