スイートペットライフ
――っていうか‘にっこり’じゃねーよ。

「あの、もうはっきり言いますけど、私少しでも荷物解きたいんです。

色々しなきゃいけないこともあるから、帰ってもらっていいですか?」

失礼を承知でストレートに伝えた。だってなんだかのらりくらり埒が明かない。

「何言ってんの、ここ僕のうちじゃないか」

「……は?」

「あ、ごめんごめん。僕【たち】のうちだよね」

そういってウィンクを一つ投げかけて来た。

形のいい目から投げかけられたウィンクはボー然としている私にはとどかない。

あぁ、白目むきそう……

思わずへたりこみ、(この部屋でへたり込むの二度目だ)正気を失っていると

「どうしたの~?」

と呑気に私の顔の前で手を上下させている。

「あの、言ってることが全くよくわかりませんが」

「え?難しい言い方したかな?」

「いえ、そうじゃなくて、僕【たち】のうちってどういうことですか?第一ここ知り合いの部屋だって」

「だってここに書いてあるじゃない。ペット従属関係契約書。それに知り合いって言った?僕の良く知ってる人って言ったと思うけど。僕自分のことは良く理解してるつもりだけど」

あの時交わした契約書を目の前に突きつけられる。
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