スイートペットライフ
***

寝返りを打とうとして、身をよじるが身体が動かない。

もう!何どうして!身体をゆすっていると

「もう、まだ朝じゃないからじっとして」

男の人の声がありえないほどの至近距離から聞こえて来た。

驚きで重い瞼がぐわっと開いた。

目の前には、綺麗な寝顔の大倉さんの顔がっ!

「あわわわ!いや――――!」

思いっきり大倉さんの胸をおして、私を拘束していた腕をはずす。

「もう、夜中に大きな声出さないの!めっ!近所迷惑でしょ」

「近所ってこのフロアこの部屋だけじゃないですか!」

「へへへ、ばれた?一度言ってみたかったんだよね」

目をまだ閉じたままへらへら笑う大倉さん。

いやいや笑ってる場合じゃないから。早くここから出て行って~!

と思って気が付いた。ここはどこだ?

「あの、ここって…」

「ん~僕とミィのベッドだよ~」

いやいや、私はここで寝ませんから。暗闇に目を凝らすとマンションの寝室だった。

と言うことは、ここは大倉さんのベッド。だから私が出て行かないといけない。

確か引越し荷物に布団も持ってきていたはず。

私はベッドから抜け出そうとしたが、大倉さんの手は一向に緩む気配がない。
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