【短】生徒会シリーズ1~憐れ、青春の闘争~

「更に言えば、言うことを聞かなかったやつの虐殺は当たり前、金銀を持ってこれなかったやつも手首を切り落とされて、見せしめのために村に帰らされた」


 笹枝は小さく悲鳴をあげ、両手で口元を覆った。


「身体能力の高いインディアンがヨーロッパでも使えると踏んだコロンブスは、奴隷としてスペインに持ち帰ることにした。それがインディアンの奴隷制の始まりだ。長い航路の中で沢山死んだらしいが」


 シーンと静まり返る生徒会室に、コクリ、と生唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえる。


「私達が食べているチョコレートの原料、カカオも児童奴隷、つまりは子供の奴隷がとっている。事実上人権的な問題で廃止にはなっているが、決して無くなったわけではない。根が深いのさ。
しかも彼らは自分達がとっている豆がこんなにも美味しいチョコレートになるなんて知らない。
ところで、カカオの生産で一番多い国はどこだと思う?」


 「笹枝」と、甲賀に突然話を振られ、笹枝はまたも跳び跳ねる。


「え、えーと、あの、ガーナとか、コートジボワールとか…でしょうか…」
「Congratulation!その通り!」


 甲賀はパチンと指を鳴らした。


「主に熱帯地方だ。
では、チョコレートの生産が多い国は?」

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